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今月の特集

脳卒中について
脳神経外科 加賀 明彦

はじめに

 脳卒中とは、脳の血管の病気の総称であり、脳血管障害ともいいます。この中には、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などが含まれます。脳梗塞は脳の血管がつまる病気で、脳塞栓、脳血栓、ラクナ梗塞に分かれます。

主要死因別死亡率の年次推移

 過去には脳卒中が日本人の死因の第1位でしたが、治療法や検査法の進歩により死亡率は減少しました。

脳卒中の型別死亡率

 高血圧の治療が普及したため、脳出血の死亡率が圧倒的に減少し、脳卒中全体の死亡率が下がりました。しかし、脳梗塞やくも膜下出血の死亡率はあまり変わりません。
 死亡率は減ったものの、脳卒中に罹る患者数は減っていません。一旦脳卒中を生じると後遺症を残すことが多いので、油断ができない病気であることには変わりません。

脳卒中の何が問題か】

 ○突然発症する・・・前ぶれがないことが多い
 ○後遺症が残る・・・脳細胞は再生されないことがほとんど

脳卒中の種類と頻度

 TIA・・・・・・・・・・・・7%
 ラクナ梗塞・・・・・・・・22%
 アテローム血栓性梗塞・・・18%
 アテローム血栓性塞栓・・・4%
 心原性脳塞栓・・・・・・・21%
 脳梗塞(その他) ・・・・・6%
 脳出血(高血圧)・・・・・13%
 クモ膜下出血 ・・・・・・・6%
 脳出血(その他) ・・・・・3%

脳卒中の危険因子

 生活習慣では ①大量飲酒 ②たばこ ③運動不足 ④肥満 が挙げられます。
  ①大量飲酒
    1日1合を越えてお酒を飲む人には、脳卒中で死亡する人が多くなります。
  ②たばこ
    1日平均40本のたばこを吸う人は、吸わない人に比べて4倍も脳卒中で死亡しやすいです。
  ③運動不足
    運動が不足すると、食事で摂ったエネルギーを消費しきれず、肥満につながるばかりか、
    糖尿病や高脂血症、高血圧も引き起こします。
  ④肥満
    脳卒中の危険因子である高血圧や糖尿病の原因になるため、間接的に脳卒中の危険因子と
    なります。

 症状・病気では、〈1〉高血圧 〈2〉高脂血症 〈3〉糖尿病 〈4〉心臓病(心房細動)が挙げられます。
  〈1〉高血圧
    血圧が上昇すると脳卒中にかかりやすくなったり、死亡する人が多くなったりします。
  〈2〉高脂血症
    脳卒中のうち、脳梗塞になりやすいです。
  〈3〉糖尿病
    糖尿病の人では、脳卒中で死亡する率が正常な人の2~3倍になります。
  〈4〉心臓病(心房細動)
    心房細動(脈の乱れ)があると、心臓の中にできた血のかたまりが血液の流れに乗っていき、
    脳の血管で詰まって、脳梗塞の原因となります。

脳梗塞の予防】

 危険因子の管理が重要となり、特に①~⑤に挙げる項目が重要です。
 治療が必要と判断されたら、勝手に中断せず継続してください。

 ①血  圧・・・・降圧薬
 ②糖 尿 病・・・・血糖降下薬、インシュリン
 ③高脂血症・・・・抗高脂血症薬
 ④禁煙
 ⑤飲酒を控える

脳梗塞急性期の治療

 脳梗塞急性期の治療として下記の方法があります。
  ①血栓溶解療法(詰まった血管を再開通させる)
  ②抗凝固療法   (血液を固まりにくくする)
  ③抗血小板療法   (血液をさらさらにする)
  ④脳保護薬       (脳を虚血から守る)
  
  ○血栓溶解療法
   血管の中に詰まった血液を溶かす療法で、米国では1996年に認可されました。
   日本では、2005年にアルテプラーゼというお薬が認可され、発症3時間以内の脳梗塞に投与可能と
   なりました。そして2012年に発症4.5時間まで延長されました。日本で行った試験では、約37%の
   人がほとんど障害のない状態で回復しています。
   
   ~適 応~
   ①発症4時間30分以内
   ②症状の急速な改善がない
   ③軽症(失調、感覚障害、構音障害、軽度の麻痺のみを呈する)ではない
   
   ~禁 忌~
   ①非外傷性頭蓋内出血の既往
   ②重篤な外傷の既往がある場合
   ③出血傾向
   ④CTで早期虚血性変化が見られる等
   
   ~受けるためには~
   ○できるだけ早く受診を(発症後3時間30分以内)
   ○家族も一緒に来院する

脳梗塞慢性期の治療

 ①抗血小板療法・抗凝固療法
   最近、新しい薬が開発され、食事の制限をしなくてもいいものもあります。
 ②頸動脈内膜剥離術(CEA)
   首の血管が細くなっている場合手術で広げます。
 ③頚動脈ステント留置術(CAS)
   細くなった首の血管をステントで広げます。

終わりに

 脳卒中に一旦罹ると後遺症を残してしまい、不自由な生活を強いられます。しかし、これは危険因子の治療をすることで予防することができますし、発症後でも早期に治療を開始すれば、症状を改善させられる可能性があります。上記のことをぜひ留意していただき、脳卒中の予防、治療を行っていただければと思います。

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